山二醤油醸造株式会社 新関さとみさん
山形市西部の田園地帯にある山二醤油醸造に嫁いだ新関さとみさんにお話を伺いました。
「醤油屋の母ちゃんは漬物名人」と呼ばれるほど、漬物上手だった義母。ただ美味しいだけでなく、季節と心を感じさせる芸術作品のような漬物。先祖が受け継いできた技と心を、私も同じように子どもに伝え残したい…そう思ったのがきっかけでした。
その後、出産を機に食への意識がますます高まると、義母から少しずつ漬け方を学び、次第に農産物直売所で販売するまでになりました。
漬物づくりで一番こだわっているのは、ずばり野菜。素材が新鮮でないと、本当においしい漬物はできません。主な野菜は、信頼できる農家に委託栽培するという徹底ぶり。2003年には「さとみの漬物講座企業組合」を設立。山形の漬物、手づくり味噌・漬物レシピ本等の販売、漬物講座などを行っています。
一方のみそづくり。こちらも大豆にはこだわって、甘み、香り、味わいともに絶品の地元産「秘伝豆」を100%使用。麹は、一般的なみその倍以上を入れた15割。原料がいいうえに、昔ながらの製法でゆっくりじっくり熟成させた「天然醸造」の味は格別です。注文をいただいてから蔵出しし、袋詰めをします。
みそ汁にすると大豆の香りがいっぱい広がり、ほんのり甘くて最高においしい! また、さらに麹の量が多い18割のみそもあります。お米の甘味がハンパではなく、「あンまいッ!」と声を上げるほど。さすがに甘すぎるのではと懸念もありました。が、これが大ヒット。定番商品となりました。
購入したみそは、数日間経つと、袋がパンパンに膨れてきました。これぞ、まさしく「みそが生きている」証拠です。
「おいしいみそは、みそ汁にしたらもったいない」と言う人が多いけれど、おいしいみそだからこそ、みそ汁で飲んでほしい」と力説するさとみさん。美味しいみそを知ってもらうきっかけとして、10年前から取り組んでいる「みそづくり講座」は、3年ほど前から一気にオファーが増えました。現在は親子やPTAを対象に毎週末、講座を行っていますが、煮豆作業も人手も追いつかないほどの人気です。若者からご年配の方まで、みそは万人に愛される食品です。皆さんに喜んでいただけるので、やっていてとても楽しい、と微笑みがこぼれました。