IMPRESSION COMPETITION小学校家庭科副読本『おみそ 調べてみよう!食べてみよう!』
読後感想文コンクール
平成15年度 第11回 入賞者発表

生活の中に生きる味噌[文部科学大臣賞]

大分市立坂ノ市小学校6年生伊妻 恵美里

「パンと紅茶の朝ご飯にしようかな。」
久し振りに祖父母の家へ泊まった翌朝、起きて来た弟がそう告げました。「麦ご飯にワカメと油揚げと玉葱の味噌汁、納豆、のり、季節の野菜の浅づけにたっぷりの胡麻」の朝食を祖父と二人で一足先に食べていた祖母は、
「好きな物を食べたらいい。」
と、ニコニコしながら弟に答えました。
学校行事や運動クラブの関係で、最近は祖父母の家へ泊まる事も減りましたが、いつ見ても二人の食事は季節通りの和食で、とりわけて「ご飯と味噌汁」の基本は結婚して五十年以上ずっと続いているそうです。
「昔から日本人の基本と思い食べてきたけれど、根きょも有り、健康面からも味噌は素晴らしい食品らしいぞ。」
祖父がにこにこしながら話してくれます。
「味噌汁の中に海と畑を一緒にすると、バランスがいいのよ。ワカメと豆腐、黒芽コンブと玉葱なんてね。」
祖父に続けて、祖母もにこにこと話します。今年七十八才と七十三才の祖父母は、特に病気も無く二人、元気に暮らしています。
本に依ると遠い奈良の時代にも、味噌は貴重な食べ物として扱われ、その用途は様々だったと伝えられています。長い歴史の中で途中絶える事無く現代まで受け継がれて来た味噌は、きっと多くの価値と存続理由があったのだと思われました。と同時に、食べ物であふれ、豊かな時代を楽しんでいる現代の私達が豊かさの裏で失くしかけている健康への問題も、味噌は私達へ大きな役割を果たす食品であると気づかされるのでした。
弟の一言から始まった味噌への関心は、家族をも少し変えました。洋食気味だった我が家の食事は和食へ移り、箸が進みにくかった弟も今では
「一日は一年の基本だよ。」
などと言って、なすの味噌いためやお味噌汁が大好きなのです。

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