IMPRESSION COMPETITION小学校家庭科副読本『おみそ 調べてみよう!食べてみよう!』
読後感想文コンクール
平成27年度 第23回 入賞者発表

見えないみその作り手[優秀賞]

東京都杉並区立八成小学校5年生石川 桃子

「わぁ、いいにおい!」

私は近くのみそぐらにお母さんと買い物に来た。古い木造の建物に入ると、あまいような、不思議な、いいにおいがした。
「おみそのにおいかな?」
「こうじのにおいかもしれないね。」
買い物をしてから店の人が中を見せてくれた。
「この杉のたるでおみそを作ります。」
うす暗い建物の中に、大きなたるがいくつもならんでいる。私のせよりも高い。長年使いこまれているから、黒ずんでいてかっこいい。目には見えないけれど、このたるの内側には、みそをおいしくしてくれるび生物がたくさん住んでいるにちがいない。
 その日、きゅうりにみそをつけて食べた。みそぐらを見たから、さらにおいしい。すると、みその中から声がした。
「いつもみそをおいしく食べてくれてありがとう!ぼくはこうじきんだよ。みその中を見せてあげるよ。」
「え、ええ?」
私の体はみるみる小さくなって、みその中に入っていった。
 みその中では、こうじきんが大豆やお米を分解したり、組み変えたりして、おいしくなるように変身させている。塩は悪いきんが入ってこないように見張っている。みんないそがしそうに働いていた。
「これが発こうだよ。これからさらにじっくり時間をかけてじゅく成させるよ。こうぼきんやにゅうさんきんの働きで、味、色、かおりが変化して、おいしいみそになるんだ。」
と、こうじきんが得意げに言った。すると、とつ然目の前が真っ暗になった。

「朝ですよ。」
「はっ!夢だったのか!」
身支度を整えて、食たくについた。

「みんなありがとう。」
私は湯気の立つおみそ汁に話しかけた。

平成27年度 第23回 入賞者一覧に戻る