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全国みそ料理めぐり

福島県 みそ田楽

焼き味噌の香りは
古典落語「味噌蔵」の主役

傷ついた新選組を癒やした会津の田楽

皆さんは「味噌蔵」という古典落語を御存知ですか?あるところにみそ作りを商うお店がありましたが主人が大変なけちん坊、店で働く番頭や奉公人もろくな食事が食べられません。あるとき主人の留守に帳簿をごまかし、酒やごちそうを並べてどんちゃん騒ぎ。そこに主人が帰ってきて…というお話しです。ごちそうの最後が「みそ田楽」で、焼きたてのみその香りを主人が味噌蔵の火事と勘違いしてサゲになりますが、落語の舞台は江戸時代後期と考えられ、みそ田楽の長い歴史が感じられます。

そもそも田楽とは田植えや収穫時の祭礼で笛や鼓を鳴らして踊った芸能で、演者が着る白装束が豆腐の串焼きに似ていることから、豆腐にみそや醤油をつけて焼いたものを「田楽焼」と呼ぶようになりました。全国各地で食される田楽ですが、福島県会津のみそ田楽は赤みそに砂糖や様々な薬味を練り込んで味付けしたみそだれが特長。囲炉裏の炭火で焼くといくらでも食べられると評判の、素朴で懐かしい田舎料理です。

幕末には戊辰戦争に敗れた新選組の土方歳三が白河街道の近くにあるお秀茶屋という店で田楽を食べたと言われ、お秀茶屋は今も会津若松市で営業を続けています。

300年余をかけ受け継がれた会津みそ

会津のみそは、会津盆地の厳しい気候の中で長期間熟成された赤色辛口の米みそです。1685(貞享2)年に書かれた「会津風土記」には武士生活用品の手伝い人足として御味噌手伝144人、御醤油手伝21人と記されており、城内で味噌・醤油が作られていたことが推測されます。また、同じ風土記の「甲賀町覚書」にも味噌屋6軒とあり、300年以上も前から会津城下では味噌屋が商いとして定着していたようです。実際、現在に残る「会津みそ」の蔵元には1790(寛政2)年創業を伝える店もあり、新選組や白虎隊が口にしたというのも大いに頷けます。

では歴史を味わう郷土料理みそ田楽の作り方を紹介しましょう。材料は2人分で、里いも4個、揚げ豆腐(生揚げでも可)4枚、餅 4切れ。たれみそ用にお好みのみそ100g、ざらめ砂糖50g、みりん大さじ2〜3杯。

垂れ味噌の材料を、味を整えながら合わせておきます。里芋は茹でて食べやすい大きさに切り、揚げ豆腐は木綿豆腐を布巾でくるみ、まな板に挟んで1時間程度脱水し長方形に切ってから菜種油でから揚げます(生揚げはそのまま)。餅も食べやすい大きさに切り、それぞれの材料を串に刺し、網焼きで両面を焼きます。たれみそを載せてもう一度焦げ目をつけてできあがり。お好みでゴマや薬味をかけていただきます。

時間をかけ歴史と郷土料理を味わう

福島県会津市は戊辰戦争の舞台として知られています。薩摩長州土佐各藩を中心とする新政府軍と、奥羽越列藩同盟ら旧幕府軍の戦いは日本史史上最大の内戦とも呼ばれ歴史愛好家ならずとも一度は興味を持たれた方が多いのでは。年若くして飯盛山で集団自刃を遂げた白虎隊の悲劇や、当時の男性中心社会において獅子奮迅の活躍を見せた新島八重や中野竹子ら女子隊にまつわるエピソードは今なお映画やドラマに度々取り上げられ、若い世代の関心も高いようです。

会津市でも歴史保存政策には力を入れており、現存天守では唯一赤瓦の天守を持つ鶴ヶ城を中心に会津藩校日新館や会津武家屋敷など当時の建築物が数多く残され、博物館要素を持つ見学施設としても充実した内容となっています。

さて、会津若松にはみそ田楽以外にも個性的な郷土料理が多くあります。もっとも有名なのが「こづゆ」、ホタテの貝柱からとった出汁で根菜やきのこ類を煮こむボリューム満点の伝統食です。最近の人気は「ソースカツ丼」、丼飯にたっぷりの千切キャベツと各店オリジナルソースで味付けしたカツレツが乗り、食べ歩きを楽しむ旅行者も多いとか。

名所以外にもふとした街角に歴史が染み込んだ街、会津若松。たっぷり時間をかけて楽しんでください。

「みそ田楽」(2人分)

  • エネルギー 258kcal
  • 食塩相当量 2.5g
  • ※一人分の値

材料

  • さといも4個
  • しいたけ4個
  • 木綿豆腐1/2丁

練りみそ(作りやすい分量)

  • みそ100g
  • 砂糖80g
  • 50ml
  • みりん25ml

作り方

  1. さといもは蒸して皮をむき、半分に切る。しいたけは軸を切り、豆腐はしっかり水切りをして厚めの短冊に切る。
  2. 練りみその材料を小鍋に入れ火にかけ、よく練り混ぜ、冷ます。
  3. [1] を串に刺し、フライパンでさっと焼き、練りみそを塗る。
    ※練りみそは多くできるので、冷蔵庫で保存する。

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