1. ホーム
  2. みそ資料館
  3. 全国みそ料理めぐり
  4. 焼きまんじゅう

全国みそ料理めぐり

群馬県 焼きまんじゅう

おやつにも主食にも、
老若男女に愛されるソウルフード

新取を好む土地で、進化する郷土料理

群馬県の南部は古くから冬季の麦作が盛んで、「おっ切り込み」や「煮ぼうとう」などの麺類、「炭酸まんじゅう」や「そばまんじゅう」などの小麦粉食品が好まれてきました。串に刺したまんじゅうに甘みのある味噌だれを塗って焼く「焼きまんじゅう」もそのひとつ、お祭の縁日には欠かせない屋台メニューとして愛され続けています。

焼きまんじゅうの発祥は諸説ありますが、江戸時代末期に前橋の原嶋類蔵という方が考案した「味噌づけまんじゅう」が元祖と言われ、どぶろくを発酵剤として用いるパンのような素材の珍しさと、まんじゅうを竹串に刺す目新しさが好評だったそうです。その後、明治以降輸入されるようになった黒蜜が加わり、沼田市や利根郡などの県北部では餡の入った甘い焼きまんじゅうも食べられるようになり、現在の味付けへと変化していきます。

江戸時代末期から明治初期は、群馬県が最も沸き立った時代です。明治新政府が殖産興業と開化政策を推し進め、群馬県の養蚕業にも外国人技術者や洋式器械が導入され、生糸の大量生産技術が確立されました。明治5年に創業した富岡製糸場を中心とする蚕糸業は日本の近代化に大きな役割を果たし、一方では欧米文化も積極的に受け入れ、県内のキリスト教普及と学校の設立が進み「東の群馬、西の岡山」といわれる教育県へと発展を遂げます。

素材の面白さで人気を集め、新しい味付けで人気を高めた焼きまんじゅうが、常に新しい技術や考えを取り入れる群馬県人のソウルフードとして定着したのも納得できますね。

家庭で味わう縁日気分、たくさん作ってみんなでワイワイ!

屋台をはじめ外食のイメージが強い焼きまんじゅうですが、小麦農家では日常から食べられており家庭料理としての歴史もあります。まんじゅうと味噌だれ、竹串などを詰め合わせた土産用の焼きまんじゅうセットも販売されていますが、ここでは家庭向けの調理法を紹介しましょう。

30個10人分用として、「まんじゅうの素」用に米麹1/2カップ、ごはん1カップ、小麦粉(薄力粉)1/2カップ、ぬるま湯2カップ。さらに小麦粉(薄力粉)550g、砂糖1/2カップ、重曹ひとつまみ。「たれ」用に赤味噌150g、砂糖300g、水150gを用意します。

はじめに小桶に「まんじゅうの素」の材料を入れよく混ぜ合わせ、暖かい所に置きます。30℃位で2~3昼夜ほどたつと表面がブツブツと泡立ちはじめ、「サー」という音がしてきます。泡が消え米粒が上に浮き上がってきたところを布巾でこし「まんじゅうの素」は出来上がりです。

次に小麦粉と重曹を合わせてふるい、ボウルに先程の「まんじゅうの素」250~300ccと砂糖と一緒に入れ、耳たぶくらいの固さになるまでこね合わせます。1個25~30gの大きさにちぎり、丸めて形を整え、打ち粉をした箱の上に並べ、濡れ布巾をかけて発酵させます。

まんじゅうが2倍くらいにふくれ、指で押して弾力を感じるように皮がふくれてきたら濡れ布巾を敷いた蒸し器に並べ、まんじゅうの表面がしっとりしてきたら、強火で25分蒸します。蒸し上がったまんじゅうは底を上にしてざるに広げ、うちわであおいで底を乾かします。

鍋に「たれ」の材料を入れてよく混ぜ、練りながら煮詰め、泡が出たところで火を止めます。まんじゅうを網で焼き、少し焼き色が少しついたところでたれを塗り、さらにこんがり焼いたら出来上がりです。

群馬県で明治期の産業遺産を見る

群馬県は、焼きまんじゅうが生まれ育った明治初期の風景を大切に残しています。その代表が世界遺産に登録されている富岡製糸場をはじめとする養蚕、製糸、織物などに係る「ぐんま絹遺産」。

なかでも織物の町として発展した桐生市はノコギリ型屋根の織物工場などが町並みごと残り、重要伝統的建造物群保存地区にも指定されています。桐生を起点とする、わたらせ渓谷鐵道からは明治時代に日本一の鉱山として知られた栃木県の足尾銅山へも足を伸ばせます。

鉄道関連では明治26年に横川〜軽井沢間に開通した碓氷線が有名、急勾配を克服したアプト式の電気機関車や日本最大のレンガ造りのアーチ橋「碓氷第三橋梁」、旧丸山変電所などの鉄道遺産が残され、横川駅に隣接する「碓氷峠鉄道文化むら」は多くの観光客で賑わっています。

みなさんも群馬県で新たな時代に挑んだ明治期の気風を、焼きまんじゅうとともに味わってみてください。

「焼きまんじゅう」(2人分)

材料

  • 強力粉200g
  • ドライイースト3g
  • 少々
  • ぬるま湯110cc
  • サラダ油大さじ1
  • 打ち粉(強力粉)適量
  • 必要に応じて

みそダレ

  • 味噌大さじ4
  • 砂糖100g
  • 黒砂糖50g
  • 70g
  • 大さじ2

作り方

  1. ボールに強力粉を入れ、ドライイーストを加え軽く混ぜる。塩を溶いたぬるま湯をボール全体に振りかけ、手早く混ぜる。ある程度混ざったら、手でよくこねる。ボール側面の粉がなくなり、生地がまとまったら、油を入れ耳たぶくらいの硬さになるまで更にこねる。こね終えたら、ラップをかけて1時間ほど寝かせる。
  2. 1次発酵を終えた①を打ち粉をしたまな板に取り、8等分に切り分ける。あらかじめ40度のお湯を入れた蒸し器に入れ、火にかけずに20分ほど寝かす。
  3. 沸騰した蒸し器に②を入れ、10~15分蒸す。
  4. 串に刺し、両面に焼き色をつける。
  5. 串鍋にみそダレの材料を入れ、煮詰める。味噌は最後に味をみながら入れる。
  6. 味噌ダレを塗って、更に焼く。数回塗ってもおいしい。

全国みそ料理めぐり 一覧に戻る

ページトップに戻る