1. ホーム
  2. みそ資料館
  3. 全国みそ料理めぐり
  4. 五平餅

全国みそ料理めぐり

長野県 五平餅

ドライブやアウトドアの定番、
家族みんなに愛される郷土料理

「五平」は形から?人の名前?長い歴史にふくらむ想像

郷土料理は家庭で伝承されることが基本ですが、専門の料理店やお土産品で多く扱われています。長野県の五平餅は、串のついた食べやすい形状、大人にも子どもにも愛される焼き味噌の甘い香り、程よい腹持ちから高速道路のサービスエリアや道の駅で味わえる人気料理として普及してきました。海がない長野県は中央自動車道、長野自動車道、上信越自動車道をはじめ高速道路が重要なインフラとして機能しており、五平餅は現代のニーズにも応える郷土料理と言えます。また、スーパーなどには焼くだけで手軽に味わえるものもあり、アウトドアの愛好家にも人気です。

さて五平餅の「五平」という名にはどんな由来があるのでしょうか?長野県の木曽・伊那地域を中心に、岐阜県、富山県、愛知県、静岡県など中部地方の山間部に伝わる五平餅は土地ごとに大きく伸ばした「わらじ型」、おなじみの「小判型」、細長く伸ばした「筒型」、丸めた「団子状」など様々な形があります。いずれも串に刺すことからお祭りで神様に捧げられる「御幣」に例えられたという説があります。一方、最初に飯を潰し味噌を塗って焼いて食べた人物の名が「五平(五兵衛とも)」だった、美濃の国から峠を超えて飯田に来た老人が五平餅を伝え、その老人の名が「五平」だったなど人名説も複数あります。起源は明らかでありませんが、江戸時代中期頃には食べられていたといわれ、「塩の道」とも呼ばれる伊那街道や中馬街道、五街道の一つ「中山道」などを伝い広まっていたと思われます。

みそ、米、くるみ、山の幸が奏でるハーモニー

五平餅を自宅で楽しむレシピを紹介しましょう。材料は4人分で、みそ60g、米4カップ、くるみ15g、砂糖80g、いりごま(白)10g、酒少々。それに竹串を16本用意します。

米を普通に炊き、熱いうちにすりこぎで半つぶしにし、直径3cmくらいの平たい団子形に丸め、よく冷ましてから竹串に2個ずつ刺します。次はくるみ味噌ダレの作り方。いりごまをすり鉢ですりつぶし、くるみを加えさらにしっかりとすりつぶし、鍋でみそ、砂糖、酒と合わせて火にかけます。中火〜弱火でとろみがつくまで混ぜ合わせ、炭火やフライパン、ホットプレートで焦げ目がつくまで焼いた団子につけます。形を整え、再び炭火などであぶって出来上がり。味付けに使うタレは各地域や家庭によって異なり、味噌ダレのほか醤油ベースのタレや、山椒、柚子などを加えたものもあります。

米が貴重だった時代、五平餅は祭りの捧げ物やハレの日の料理として食べる大変なご馳走でした。現在も農家では田植えを終えると田の神を送り豊作を祈る行事がおこなわれ、集落の家族みんなで五平餅を作って食べる「五平餅会」が開かれる風習が残っています。

五平餅を味わいながら、木曽路を歩いてみよう

五平餅の魅力を伝えた中山道は、「木曽路はすべて山の中である」でおなじみ、島崎藤村の名作「夜明け前」の舞台としても有名です。小説は明治維新前後の動乱期を描いていますが、中山道には今も往時を偲ぶ風景が色濃く残っており、ぜひ訪れていただきたい観光地です。

もっとも手軽なアクセスとしては中央本線を中津川駅で下車し、バスで20分ほど乗ると馬籠宿に着きます。美しい石畳と古い町並み、高台には江戸時代にお触れが出された高札場が遺され、もちろん美味しい五平餅も楽しめます。さらにバスを乗り継ぐと妻籠宿。多くの旅行情報誌に紹介されてきた有名な宿場町です。国の重要文化財に指定される脇本陣奥谷を中心に時代劇に迷い込んだかのような風景が続き、道端にはきれいな水がこんこんと湧く水路が心を潤してくれます。名物のひとつが木曽檜で織った道中笠で、夏は水路の湧き水をざんぶと汲んでそのまま頭からかぶるのだとか。妻籠宿からは中央本線の南木曽駅へバスが出ています。山深い土地ではありますがバスやマイカーに頼ることなく歩くハイキング客も多く、遊歩道が整備された区間もあります。

五平餅を片手に中山道を歩けば、五平さんに出会えるかもしれませんね。

「五平餅」(6本分)

材料

  • 2合

みそだれ

  • みそ80g
  • 炒りごま大さじ2
  • くるみ大さじ4(20g)
  • みりん大さじ2
  • 黒砂糖大さじ2
  • 大さじ2

作り方

  1. みそだれを作る。ごまはよく擦り、くるみは煎ってみじん切りにし、すべての材料を練り混ぜる。
  2. 米は普通の水加減で炊く、熱いうちにすりこ木で半づきにし、丸めて木の串または箸に刺し、楕円形に整える。
  3. 焼き網かオーブンで焼き、みそだれを塗り、更にあぶる。

全国みそ料理めぐり 一覧に戻る

ページトップに戻る