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全国みそ料理めぐり

大分県 団子汁

麦粉を活用した独特の形状を持つ郷土料理、
メニューもバラエティに派生

団子であって団子でない?

団子というと球形の食物を想像しますが、大分県の団子はこねた小麦粉を薄く帯状に引きのばした「うどん」や「きしめん」に近い形をしています。台地が多い大分は土壌に保水性がなく米づくりに適さない土地が多く、麦など穀物栽培が盛んになり、小麦粉などによる粉食文化が育ったと言われます。帯状に延ばす前に丸めた状態でしばらく寝かせることから「団子」と呼ばれますが、煮込む際は薄い帯状のほうが味は染み込みやすく、名称はそのままで形はうどん状に変化したものが「大分の団子汁」です。 団子汁の材料は6人分でみそを150g、九州地方で人気の麦味噌のほか合わせ味噌や白味噌仕立てでも美味しくいただけます。次に小麦粉500g、塩13g、水250cc、だし汁(いりこ・昆布)を適量、ダイコン約10cm長、ニンジン1本、ゴボウ1本、里芋5個、豚肉150g、小ネギ適量。

作り方は塩を混ぜた小麦粉に少しずつ水を加えながらこね、丸くまとめます。濡れフキンで包み1時間ほど寝かせて棒状にし、親指大にちぎり手のひらで伸ばし平麺状の団子を作ります。さらに濡れたフキンをかけて寝かせ、鍋に沸かした熱湯で茹で、ザルにあげ流水でぬめりを取ります。
具材の下ごしらえは里芋を皮付きのまま下ゆでし、皮をむき食べやすい大きさに切り、ゴボウはささがきにして水にさらし、ニンジンとダイコンは皮をむき大きめのささがきにします。切った野菜をいりこと昆布で出汁を取った汁に入れて煮、食べやすく切った豚肉も入れます。
具材に火が通ったところで味噌を入れて味をととのえ、最後に団子を加えます。器に盛り付け小口切りの小ネギを散らしていただきます。

うどんよりもコシが強く歯応えを楽しめる団子汁は、寒い季節に身体が温まり腹も満たされるためよく食卓に上り、出汁のとり方や具材、団子ののばし方にも家ごとの個性が出る郷土料理の代表として愛され続けています。

様々なメニューで受け継がれる大分の麦食文化

麦栽培が盛んな大分では麦焼酎が人気を博し、小麦粉を使用した粉食文化が各地に根づき、団子汁以外にも様々な料理が日常的に食べられてきました。 由布市東部の古野地区に伝わる「やせうま」は団子汁の団子にきなこや砂糖をまぶして食べる昔ながらのおやつ。やせうまという不思議な名称には、平安時代に八瀬と言う名の乳母が若君の成長を祈り古野の妙蓮寺に参拝する道中、若君に「うま(幼児語で食事の意味)」と言って食べさせたといわれ妙蓮寺では現在もお盆の行事食に「やせうま」が作られています。 豊後大野市に伝わる「じり焼き」は水で溶いた地粉(地元産の小麦粉)をクレープのように薄く焼き黒砂糖やカボチャのあんを巻いて食べるおやつ。ほかにも地粉にさつまいもを混ぜて蒸す「石垣もち」などがあります。

いずれも手軽に作ることができ万人に愛される素朴な味わいから県内外に広く浸透し、大分の麦食文化を支えています。

昭和から令和へ時代を映す温泉街

大分県のホームページを開くと「日本一のおんせん県大分」というフレーズが目に入ります。日本にはいくつもの有名な温泉がありますが、別府、由布院、鉄輪をはじめとする温泉群は数から言っても泉質から言っても日本一と呼ぶに相応しい充実ぶりです。なかでも「別府八湯」こと別府、鉄輪、明礬、観海寺、亀川、柴石、堀田、浜脇温泉からなる別府温泉は1日の湧出量9万リットル、源泉数約2850本、共同浴場約170件、宿泊施設数約1000軒、泉質数10種類とまさしく日本一の規模を誇ります。映画「男はつらいよ」にも登場する温泉の代名詞であり戦後〜昭和レジャーブームの主役として君臨してきました。

一方、「豊後富士」の別名を持つ由布岳の麓、由布院温泉は華やかな歓楽街はなく、趣ある純和風の老舗旅館が平成時代のスローライフブームにマッチし、高い人気を持つ様になりました。 個々の好みや時代のニーズに広く応える大分県の温泉は、今日も世界中からの旅行客でにぎわっています。

「団子汁」(人分)

材料

  • 中力粉250g
  • 120~150ml
  • 小さじ1/3
  • さといも3個
  • にんじん1/2本
  • しいたけ3枚
  • だし汁(煮干)3カップ
  • みそ大さじ3

作り方

  1. 団子を練る。ボールに粉を入れ、塩、水を少しずつ加え混ぜ、ひとまとめにし、10分ほど練ったら、袋に入れて休ませる。
  2. さといもは皮をむき食べやすく切り、にんじんはいちょう切り、しいたけは薄切りにする。
  3. だし汁に野菜を入れてやわらかく煮る。
    団子を手で食べやすい大きさに伸ばし、広げて汁に入れる。
    少し煮て団子に火を入れ、みそをこし入れ、好みでねぎを加える。

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